戦象は軍事的に多くの役割を担っていた。その巨躯と力は輸送を任せると非常に有効であり、武器や兵糧の運搬から、軍楽隊の大太鼓、大砲の牽引まで幅広く用いられた。王侯や指揮官は背中に豪奢な輿を載せることもあった。
普通、戦象の背には1人の象使いと、他に1?3人の弓兵や槍兵が騎乗した。見晴らしの良い高所にあるため、弓兵を乗せると特に威力を発揮した。戦場では、戦象はおおむね中央の列に配置され、可能になると突撃した。戦象の突撃は時速30kmに達し、騎兵と違って歩兵の槍で防ぐことは困難だった。巨躯から来る威圧感は大きな恐怖心を呼び起こし、訓練されていない軍隊ならば容易に壊走させることができた。初期の戦象は象使いもそれ以外の兵士もそのまま象に乗っていたが、次第に象の上に矢倉を乗せて象使い以外の兵士はその矢倉の中から攻撃するようになった。牙はそのままか調教中に危なくないように削ってあることが多かったが、中には人の腕ほどの長さを持つ刃物を取り付ける事もあった。
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戦象にはいくつかの致命的な弱点があった。その性質上、前進以外の戦術行動は不可能であり、方向転換や急停止は至難の業だった。ザマの戦いで大スキピオはその性質を利用した。また、高所に位置するために、騎乗するものが狙われやすく、象使いが殺されると戦象は制御を失って暴走した。また、銃声や鉦のような大音響にも弱かった。ただし、これは訓練である程度克服することが可能だった。ムガル帝国では、火器の発する轟音に慣らすため、幼い頃から耳元で銃声を聞かせる訓練が施された。